古文が苦手でも大丈夫!作品別にわかるポイント解説と勉強法


古文が苦手になる理由とその克服法


古文の言葉が現代と違う理由

古文が難しいと感じる一番の理由は、「使われている言葉」が今と大きく違うことにあります。現代語とは語彙や意味、文の構造まで異なっており、一見同じ言葉でも意味が変わっていることが多いのです。例えば、「あはれ」は「かわいそう」ではなく「しみじみとした情感」を表し、「いと」は「とても」という意味で使われます。このように古文では、言葉が持つニュアンスや感情の表し方が独特です。

また、文法的にも動詞や助動詞が変化する形が現代と違うため、慣れないうちは読みにくく感じます。ですが、これは「新しい言語を学ぶ」と考えると、意外と楽しくなります。英語を習得するときと同じように、基本単語や文法を一度整理しておけば、あとは文を読むたびに自然と身につきます。最初から完璧を目指さず、「意味がわかる部分を増やしていく」気持ちで進めましょう。


文法が複雑に感じるポイント

古文文法でつまずく多くの生徒は、「助動詞」と「助詞」の使い方に苦戦します。古文の助動詞には、「き」「けり」「む」「べし」など、現代語では使われない表現が多く登場します。それぞれに意味の幅があり、文脈によって訳し方が変わる点が混乱のもとです。

たとえば、「けり」は過去を表すこともあれば、「気づき」を表すこともあります。これを丸暗記しようとすると大変なので、例文とセットで理解するのがおすすめです。さらに、「ぞ」「なむ」「や」「か」などの係助詞は、文末の形を変える「係り結び」という文法現象を引き起こします。最初は難しく感じますが、パターンとして覚えると整理しやすいです。

文法を勉強するときは、ただノートを埋めるのではなく、作品の中で実際に出てくる例を使って確認しましょう。意味が具体的な文とつながることで、記憶が定着しやすくなります。


背景を知らないと内容が入ってこない

古文を読むときに「意味はわかるけど、何を言いたいのかピンとこない」ということがあります。これは、作品が書かれた時代や文化を知らないことが原因です。たとえば、『枕草子』では平安時代の貴族の日常が描かれますが、当時の風習を知らないと登場人物の行動や感情が理解しにくいのです。

ここで大切なのは、「背景を知る=内容が生きてくる」ということです。どんな時代に、どんな人が、どんな目的で書いたのかを知るだけで、作品への印象がまったく変わります。現代のニュースを理解するために時事背景を知るのと同じように、古文も「当時の常識」を少し調べておくことで、自然と読みやすくなります。


苦手を克服するための3つのステップ

古文を得意にするためのポイントは、次の3つです。

  • ステップ1:単語と文法の基礎を押さえる
     基礎を固めることで、どんな文章でも理解の土台ができます。
  • ステップ2:有名作品を読んでパターンを覚える
     『竹取物語』『枕草子』などの定番作品で、物語の流れと文法の使われ方を確認します。
  • ステップ3:音読してリズムに慣れる
     古文はもともと声に出して読む文化です。音で覚えることで、意味の流れが自然に頭に入ります。

この3つを繰り返すことで、苦手意識は徐々に薄れていきます。古文は暗記科目ではなく「慣れの教科」です。毎日少しずつ読む習慣をつけるだけで、確実に力がついていきます。


有名古文作品で学ぶ!読解のコツと楽しみ方


『竹取物語』で学ぶ「物語文の読み方」

『竹取物語』は、日本最古の物語文学として知られています。主人公・かぐや姫と求婚者たちのやり取りを通して、人の欲望や愛情、理想が描かれています。古文を読む際には、登場人物の感情の流れを意識することが大切です。

たとえば、求婚者たちが不可能な宝物を探しに行く場面では、それぞれの性格や価値観が見えてきます。ここで注目すべきは、「作者が何を風刺しているのか」。表面上は恋愛物語ですが、実は人間の愚かさや社会の虚栄を描いているのです。このように、作品の裏にあるメッセージを読み取る力が、古文読解では重要です。

物語文を読むときは、あらすじを一度現代語訳で確認してから、原文を声に出して読むと理解が深まります。音読とストーリー理解をセットで行うことで、古文特有の表現にも自然に慣れていきます。


『枕草子』で感じる「随筆の世界」

『枕草子』は、清少納言が宮中生活の中で感じたことを自由に綴った随筆です。形式ばらず、感覚的で美しい表現が魅力です。古文の中でも特に人気がある理由は、感性で読む楽しさがあるからです。

有名な「春はあけぼの」の一文は、時間の移り変わりを美しい情景で表しています。この部分を読むときは、意味だけを追うのではなく、音やリズムを味わいましょう。「あけぼの」「やうやう」「白くなりゆく」などの表現は、音の響きによって心地よい印象を与えています。

随筆を読む際のコツは、書き手の感情と状況を想像することです。清少納言が感じた「美しさ」は、単なる自然描写ではなく、彼女自身の人生観が反映されています。自分ならどう感じるかを考えながら読むことで、より深く理解できます。


『徒然草』から学ぶ「考え方の深さ」

吉田兼好の『徒然草』は、日常の出来事から人生の教訓までを語った随筆です。現代にも通じる考え方が多く、「古文=昔の話」ではなく、「人間の本質」を学ぶ教材といえます。

たとえば、「つれづれなるままに…」の冒頭では、退屈な時間を使って思いつくままに書き記すという姿勢が語られます。この自由な発想は、現代のエッセイにも通じます。兼好の文章には「ものの見方」のヒントが多く、日常を大切にする心が表れています。

読む際は、難しい語句をすぐに訳すよりも、「なぜそう思ったのか」に注目して読んでみましょう。作者の視点に立つことで、古文が一気に“現代語のように感じられる”瞬間があります。


『平家物語』で読む「歴史と感情」

『平家物語』は、戦乱の時代を背景に、栄華と没落を描いた物語です。冒頭の「祇園精舎の鐘の声」で始まる一文は有名ですが、この中には無常観という大きなテーマが込められています。「すべてのものは移り変わる」という考え方です。

この作品を読むときは、登場人物の「立場の変化」に注目しましょう。平家の栄華、敗北、そして滅亡へと進む流れの中で、登場人物たちの心情が丁寧に描かれています。現代社会にも通じる「成功と失敗のはざま」を感じ取ることができます。

物語全体を通して、「なぜこの一文が有名なのか」「どんな感情を伝えたいのか」を考えることで、単なる歴史物語から“人生の学び”へと変わるのです。

古文単語と文法を楽しく覚える方法


ストーリーで覚える古文単語

古文単語を覚えるときに、ただの暗記帳のようにひたすら書き写すだけではすぐに忘れてしまいます。大切なのは、単語に物語性を持たせることです。例えば、「いと」は「とても」という意味ですが、『枕草子』では「いとをかし(とても趣がある)」のように使われます。このように、単語が登場する場面や人物の感情とセットで覚えると、頭に残りやすくなります。

もう一つのポイントは、「似た意味をグループで覚える」ことです。例えば、「あはれ」「をかし」「うつくし」などの感情語は、すべて「心の動き」を表します。ノートに「感情語」ページを作り、例文と一緒に整理していくと体系的に理解できます。

さらに、覚えた単語を使って自分なりの「現代語訳ミニ作文」を作るのもおすすめです。例えば「いとおもしろし=とても興味深い」と覚えたら、「この映画はいとおもしろし!」などと現代風に使ってみると、言葉のニュアンスが自分の中に定着していきます。


使える助動詞・助詞の覚え方

古文の助動詞は、最初の壁になりやすい分野です。しかし、助動詞には明確な「役割パターン」があります。例えば、「む」は推量・意志、「べし」は当然・推量・命令といったように、使われる文脈で意味が変わります。そこでおすすめなのが、「助動詞マップ」を作る方法です。

紙の中央に「助動詞」と書き、そこから「推量」「過去」「可能」「打消」などのカテゴリーを枝分かれさせて、代表的な助動詞を書き込んでいきます。図で整理することで、頭の中で体系化され、混乱しにくくなります。

助詞も同様で、「ぞ」「なむ」「や」「か」などの係助詞は、文末を変化させる仕組み(係り結び)に注目すると理解が深まります。文を丸暗記するのではなく、「どんな働きをしているのか」を考えながら読むと、自然に使い分けができるようになります。


古文文法のパターンを理解する

古文文法は、一見すると複雑に見えますが、実は「繰り返し使われる型」が多いのが特徴です。例えば、「連体形+にけり」=過去の出来事、「已然形+ば」=原因・理由、といったように、決まった構文を覚えるだけで文章全体の意味が読み取りやすくなります。

このパターン学習を進める際は、作品ごとに出てくる構文を一覧にまとめておくと便利です。特に『徒然草』や『源氏物語』などは、同じ表現が何度も登場します。毎回調べるのではなく、「出会った構文ノート」を作って自分の辞書にするのがポイントです。

さらに、練習問題を解く際には、「なぜその文法が使われているのか」を説明できるように意識してみましょう。理解して使う文法は忘れにくいという特徴があります。


読解練習で実践力をつけるコツ

単語と文法の学習が進んできたら、実際に文章を読んで「使える知識」に変える段階です。ここで重要なのは、いきなり全文を訳そうとしないこと。まずは主語と述語を見つける練習から始めましょう。

古文では主語が省略されることが多く、誰の行動なのかを判断するのが難しい部分です。そこで、人物ごとにマーカーを使って色分けする方法が効果的です。例えば、「かぐや姫=ピンク」「帝=青」のように色で整理すると、話の展開が視覚的に理解できます。

また、文章のリズムをつかむために音読を取り入れましょう。声に出すことで助詞や助動詞の使われ方が自然に身につきます。読解練習は“量より質”です。1つの作品を丁寧に何度も読むことで、文法の使い方が実感として理解できるようになります。


作品別おすすめ勉強法と学習ステップ


物語文(『竹取物語』『伊勢物語』など)の学習法

物語文はストーリー展開を楽しみながら学べるのが魅力です。まず、人物関係と出来事の流れを整理することから始めましょう。ノートに人物相関図を描き、登場人物の性格や立場を一目でわかるようにします。

物語文では「会話文」と「地の文」の違いを意識することも大切です。登場人物のセリフは感情がこもっており、そこに作者の意図が隠れています。たとえば、『伊勢物語』の「東下り」では、主人公の寂しさや望郷の思いが短い文の中に凝縮されています。

また、現代語訳を読むだけで終わらせず、自分の言葉で要約する練習をしてみましょう。要約することで、話の構造が頭に入り、内容理解が格段に深まります。


随筆文(『枕草子』『徒然草』など)の勉強法

随筆文では、作者の感性や考え方を読み取ることが重要です。まずは「どんな場面で、どんな気持ちで書かれたのか」を意識して読んでみましょう。『枕草子』の「春はあけぼの」は、季節の美しさを感じる感覚的な文ですが、『徒然草』の「つれづれなるままに」は、静かな時間の中での思索を表しています。

随筆文の学習では、感情の変化をメモにまとめると理解しやすくなります。例えば、清少納言の喜び→感心→驚きといった流れを記録していくと、文章の「動き」が見えてきます。

さらに、同じ題材を自分の言葉で書き換える練習もおすすめです。「もし自分が清少納言だったら」と想像して書くことで、作者の視点を体感的に理解できます。


和歌や日記文の理解を深めるコツ

和歌や日記文は、短い中に感情が凝縮された文学です。読むときは、言葉の裏にある情景や心情を想像することが大切です。和歌では「掛詞(かけことば)」や「序詞(じょし)」などの技巧が使われるため、一語一語を丁寧に味わいましょう。

例えば、「秋風にたなびく雲のたえ間より もれ出づる月の影のさやけさ」は、『古今和歌集』の一首で、自然の美しさと静けさが感じられます。ここで注目すべきは、表面的な美ではなく、作者が何を感じ、どう表したのかという点です。

日記文では、作者の生活や思いを垣間見ることができます。『更級日記』や『蜻蛉日記』のように、当時の女性の視点から書かれた作品には、感情の機微や社会の価値観が表れています。背景を調べることで、内容の理解が格段に深まります。


作品を組み合わせた総合学習の流れ

複数の作品を関連づけて学ぶと、古文学習の幅が一気に広がります。例えば、「恋」「自然」「人生」などのテーマで作品を分類し、共通点と違いを比較する方法です。

テーマ学習を行うと、単語や文法だけでなく、思想や感情表現の違いも理解できるようになります。『伊勢物語』の恋愛と『源氏物語』の恋愛、『枕草子』の自然美と『徒然草』の無常観などを並べて読むと、時代ごとの感性の変化が見えてきます。

また、作品比較表を作ると整理しやすくなります。たとえば次のような形式です。

作品名主なテーマ特徴的な表現学びのポイント
竹取物語愛・理想不可能な課題人の欲望と理想の対比
枕草子自然・感性四季の美しさ美意識の表現
徒然草人生観無常・教訓現代にも通じる思想

こうした表をまとめることで、古文を「丸暗記」から「理解型の学習」へと変えることができます。


親子で一緒にできる古文学習の工夫


家庭でできる古文の読書習慣

古文の理解を深めるには、家庭での小さな積み重ねがとても大切です。毎日5分でも構いません。音読や朗読アプリを使って、親子で一緒に古文のリズムを楽しむ習慣をつくりましょう。

短い作品や有名な一節を選び、リビングで読み上げるだけでも効果があります。たとえば「春はあけぼの」や「祇園精舎の鐘の声」など、情景が思い浮かぶ文を選ぶと、自然と興味が湧きます。古文は“耳で覚える教科”なので、音で慣れることが理解への近道です。

また、家庭に一冊「古典名文集」を置いておくと、気軽に触れられる環境ができます。勉強というより“文化体験”として親しむことが、継続の鍵になります。


親子で楽しむ音読・暗唱練習

古文はもともと口伝えで受け継がれた文化です。つまり、声に出すことで真価が発揮されるのです。親子で交互に朗読したり、リズムに乗せて暗唱したりすることで、自然と古文の表現に慣れていきます。

特におすすめなのが、「役になりきって読む」方法です。かぐや姫や清少納言になったつもりでセリフを読むと、作品の世界がぐっと身近に感じられます。親が楽しそうに読んでいると、子どもも自然と興味を持ちます。

さらに、音読後に「どんな気持ちの話だった?」と話し合うと、感情の理解と読解力の両方が鍛えられる効果があります。


学校の授業内容を家庭で復習する方法

学校で習った古文を家庭で復習するときは、「授業ノートをもう一度読む」よりも、「実際に声に出して確認する」方が効果的です。文法や単語をノートで眺めるより、耳と口を使って記憶することで、長期的に定着します。

例えば、授業で習った『徒然草』の一節を翌日に音読してみるだけで、記憶が強化されます。音読は脳の複数の領域を使うため、学習効率が高いのです。親が「聞き役」になってあげることで、子どもは自信を持って読めるようになります。

また、クイズ形式で「この言葉の意味は?」と尋ねるのも良い方法です。ゲーム感覚で行えば、古文が楽しい学びに変わります。


古文学習におすすめの書籍・教材

古文学習をサポートする教材には、初心者にも使いやすいものが多くあります。たとえば、マンガで古典を解説したシリーズや、音声付き教材は特におすすめです。視覚と聴覚の両方を使うと、理解が深まるためです。

また、NHKの「にほんごであそぼ」や「古典を楽しむ」シリーズなども、親子で学ぶのに最適です。動画を見ながら作品の雰囲気を感じ取れるため、苦手意識が減ります。

書籍を選ぶときは、「原文+現代語訳+注釈」がセットになっているものを選ぶと安心です。中学生なら『教科書に出てくる古典名作読本』、高校生なら『新日本古典文学大系』などを参考にすると良いでしょう。


まとめ:古文の世界を親しみやすく学ぼう

古文は、昔の日本語を通して「人の心」や「生き方」に触れられる貴重な学びです。最初は難しく感じても、単語・文法・背景の3つを押さえれば確実に理解できるようになります。

また、家庭での音読や親子学習を取り入れることで、古文は“堅い教科”から“楽しい物語の世界”へと変わります。作品の登場人物に感情移入しながら読むことで、言葉の意味だけでなく、文化や歴史も自然と身につきます。

古文は決して過去の言葉ではありません。今を生きる私たちに通じる感情が、そこには息づいています。苦手意識を手放し、物語の世界を旅するように学んでみましょう。