【中学生必見】イオン式一覧表と覚え方のコツ|化学の基礎をマスターしよう

イオン式とは何か?基本的な理解から始めよう

イオン式は中学理科の化学分野で重要な概念ですが、多くの生徒が苦手意識を持ちがちな単元でもあります。しかし、基本的な仕組みを理解すれば、決して難しいものではありません。イオン式をマスターすることで、化学反応の理解が深まり、高校化学への橋渡しにもなります。

イオンとは何か?電気を帯びた原子の正体

イオンとは、原子が電子を失ったり得たりすることで、電気を帯びた状態になった粒子のことです。

普通の原子は、プラスの電気を持つ陽子と、マイナスの電気を持つ電子の数が等しいため、全体として電気的に中性です。しかし、化学反応が起こると、原子は電子を失ったり得たりします。

電子を失った原子は陽イオン(プラスイオン)となり、電子を得た原子は陰イオン(マイナスイオン)となります。

たとえば、ナトリウム原子(Na)が電子を1個失うと、ナトリウムイオン(Na⁺)になります。一方、塩素原子(Cl)が電子を1個得ると、塩化物イオン(Cl⁻)になります。

この現象は、原子が安定した電子配置を求めるために起こります。多くの原子は、最外殻の電子が8個になると安定するため、電子を失ったり得たりしてこの状態を目指します。

イオン式の書き方と読み方をマスターしよう

イオン式は、イオンの種類と電荷を表す化学式です。元素記号の右上に電荷の数と符号を書きます。

基本的な書き方のルールは以下の通りです:

  • 陽イオン:元素記号の右上に「+」の符号を書く
  • 陰イオン:元素記号の右上に「-」の符号を書く
  • 電荷の数:1の場合は省略可能、2以上の場合は数字を書く

具体例を見てみましょう:

  • Na⁺:ナトリウムイオン(1価の陽イオン)
  • Ca²⁺:カルシウムイオン(2価の陽イオン)
  • Cl⁻:塩化物イオン(1価の陰イオン)
  • SO₄²⁻:硫酸イオン(2価の陰イオン)

読み方も覚えておくと便利です。陽イオンは「○○イオン」、陰イオンは「○○化物イオン」や「○○酸イオン」と読みます。

陽イオンと陰イオンの違いを理解しよう

陽イオン陰イオンの違いを正しく理解することは、イオン式学習の基礎となります。

陽イオン(プラスイオン)の特徴:

  • 電子を失った原子
  • プラスの電気を帯びている
  • 主に金属元素が作る
  • 水溶液中では陰極に引き寄せられる

陰イオン(マイナスイオン)の特徴:

  • 電子を得た原子
  • マイナスの電気を帯びている
  • 主に非金属元素が作る
  • 水溶液中では陽極に引き寄せられる

この違いを理解することで、どの元素がどちらのイオンになりやすいかが予測できるようになります。周期表の左側にある金属元素は陽イオンになりやすく、右側にある非金属元素は陰イオンになりやすいという傾向があります。

価数の概念と電荷の関係性

価数は、イオンが持つ電荷の数を表す概念です。この価数を理解することで、イオン式の書き方がより明確になります。

価数の基本的な考え方:

  • 1価:電荷が1個(+1または-1)
  • 2価:電荷が2個(+2または-2)
  • 3価:電荷が3個(+3または-3)

価数は、その元素の最外殻電子の配置によって決まります。金属元素は最外殻の電子を失って陽イオンとなり、非金属元素は電子を得て陰イオンとなる傾向があります。

たとえば、アルカリ金属(リチウム、ナトリウム、カリウムなど)は最外殻に1個の電子を持つため、これを失って1価の陽イオンになります。一方、ハロゲン(フッ素、塩素、臭素など)は最外殻に7個の電子を持つため、1個の電子を得て1価の陰イオンになります。

主要なイオン式一覧表|テストに出る重要なイオン

中学理科のテストでよく出題される重要なイオン式を、系統立てて整理しました。これらのイオン式を覚えることで、化学反応式の理解が格段に深まります。単純な暗記ではなく、規則性を理解しながら覚えることが大切です。

1価の陽イオン一覧

1価の陽イオンは、電子を1個失った金属イオンです。これらは比較的覚えやすく、化学反応でもよく登場します。

元素名イオン式読み方覚え方のコツ
リチウムLi⁺リチウムイオンリチウム電池でおなじみ
ナトリウムNa⁺ナトリウムイオン食塩の成分
カリウムK⁺カリウムイオンバナナに多く含まれる
Ag⁺銀イオンアクセサリーの材料
Cu⁺銅イオン電線の材料
アンモニウムNH₄⁺アンモニウムイオン肥料の成分

これらの1価陽イオンの中でも、特にナトリウムイオンカリウムイオンアンモニウムイオンは頻出です。アンモニウムイオンだけは金属ではなく、窒素と水素の化合物であることに注意しましょう。

覚える際のコツとして、これらの元素は周期表の第1族(アルカリ金属)に属するものが多いことを覚えておくと良いでしょう。第1族の元素は最外殻に電子を1個持つため、これを失って1価の陽イオンになります。

2価の陽イオン一覧

2価の陽イオンは、電子を2個失った金属イオンです。1価よりも電荷が大きいため、イオン結合も強くなります。

元素名イオン式読み方覚え方のコツ
マグネシウムMg²⁺マグネシウムイオン燃焼実験でおなじみ
カルシウムCa²⁺カルシウムイオン骨の成分
亜鉛Zn²⁺亜鉛イオン乾電池の材料
Cu²⁺銅イオン青色の水溶液
Fe²⁺鉄イオン緑色の水溶液
バリウムBa²⁺バリウムイオン黄緑色の炎色反応

これらの2価陽イオンの中でも、カルシウムイオン銅イオンは特に重要です。銅イオンは1価(Cu⁺)と2価(Cu²⁺)の両方が存在することに注意しましょう。2価の銅イオンは青色の水溶液を作ることで有名です。

2価の陽イオンは、主に周期表の第2族(アルカリ土類金属)や遷移金属から生まれます。これらの元素は最外殻に電子を2個持つか、または安定した電子配置を取るために2個の電子を失います。

1価の陰イオン一覧

1価の陰イオンは、電子を1個得た非金属イオンです。これらは酸や塩基と関連する重要なイオンが多く含まれます。

イオン名イオン式読み方覚え方のコツ
フッ化物F⁻フッ化物イオン歯磨き粉の成分
塩化物Cl⁻塩化物イオン食塩の成分
臭化物Br⁻臭化物イオン写真フィルムの材料
ヨウ化物I⁻ヨウ化物イオンうがい薬の成分
水酸化物OH⁻水酸化物イオン塩基の特徴
硝酸NO₃⁻硝酸イオン肥料の成分

これらの1価陰イオンの中でも、塩化物イオン水酸化物イオン硝酸イオンは特に頻出です。

ハロゲンイオン(F⁻、Cl⁻、Br⁻、I⁻)は、すべて周期表の第17族に属する元素から生まれます。これらの元素は最外殻に7個の電子を持つため、1個の電子を得て安定した電子配置になります。

2価の陰イオン一覧

2価の陰イオンは、電子を2個得た非金属イオンや、複数の原子が結合してできた多原子イオンです。

イオン名イオン式読み方覚え方のコツ
酸化物O²⁻酸化物イオン燃焼で生じる
硫化物S²⁻硫化物イオン温泉の成分
硫酸SO₄²⁻硫酸イオン強酸の成分
炭酸CO₃²⁻炭酸イオン炭酸飲料の成分

これらの2価陰イオンの中でも、硫酸イオン炭酸イオンは特に重要です。多原子イオンは、複数の原子が結合して一つのイオンとして振る舞うことが特徴です。

2価の陰イオンは、主に周期表の第16族の元素(酸素、硫黄など)から生まれるか、または複数の原子が結合した多原子イオンとして存在します。

効果的な覚え方とコツ|暗記を楽にする方法

イオン式を効率的に覚えるためには、単純な丸暗記ではなく、規則性や関連性を理解することが重要です。ここでは、実際に多くの生徒が成功している覚え方のコツを紹介します。これらの方法を組み合わせることで、短期間でイオン式をマスターできるでしょう。

周期表を活用した覚え方

周期表の規則性を理解することで、イオン式を系統的に覚えることができます。この方法は、個別に暗記するよりもはるかに効率的です。

族による覚え方のパターン:

  • 第1族(アルカリ金属):Li⁺、Na⁺、K⁺ など(すべて1価の陽イオン)
  • 第2族(アルカリ土類金属):Mg²⁺、Ca²⁺、Ba²⁺ など(すべて2価の陽イオン)
  • 第17族(ハロゲン):F⁻、Cl⁻、Br⁻、I⁻ など(すべて1価の陰イオン)

この規則性を理解すると、新しい元素に出会ったときでも、その族から価数を予測できるようになります。

電子配置による理解:
原子は最外殻の電子が8個になると安定します(オクテット則)。この原理を理解すると、なぜその価数になるのかが分かります。

たとえば、ナトリウム(Na)は最外殻に1個の電子を持つため、これを失って1価の陽イオンになります。塩素(Cl)は最外殻に7個の電子を持つため、1個の電子を得て1価の陰イオンになります。

語呂合わせと記憶術

語呂合わせは、イオン式を楽しく覚えるための有効な方法です。自分なりの語呂合わせを作ることで、記憶に残りやすくなります。

よく使われる語呂合わせ:

  • 1価陽イオン:「リーナ・カーさんは銀行で働く」(Li⁺、Na⁺、K⁺、Ag⁺)
  • 2価陽イオン:「マグカップでカルシウム、亜鉛、銅、鉄、バリウム」(Mg²⁺、Ca²⁺、Zn²⁺、Cu²⁺、Fe²⁺、Ba²⁺)
  • 1価陰イオン:「ふっくら臭いヨウ水で洗う」(F⁻、Cl⁻、Br⁻、I⁻、OH⁻)

記憶術のコツ:
語呂合わせを作るときは、自分の経験や好きなことと関連付けると効果的です。また、声に出して何度も唱えることで、記憶に定着させることができます。

さらに、イオン式を図や絵で表現することも有効です。たとえば、陽イオンを赤い色、陰イオンを青い色で描くことで、視覚的に覚えることができます。

実生活との関連付け

日常生活で見かけるものとイオン式を関連付けることで、記憶に残りやすくなります。この方法は、学習内容を実際の生活に結び付けることで、より深い理解を促します。

身近な例との関連:

  • Na⁺とCl⁻:食塩(NaCl)の成分
  • Ca²⁺:牛乳やチーズに含まれるカルシウム
  • Fe²⁺:鉄分不足で摂取する鉄サプリメント
  • Mg²⁺:にがりの成分(豆腐作り)
  • K⁺:バナナやほうれん草に豊富なカリウム

実験との関連:
中学校の理科実験で見た現象とイオン式を結び付けることも効果的です。

  • Cu²⁺:銅板を使った電気分解実験で見た青い水溶液
  • Ag⁺:銀鏡反応で見た銀の析出
  • Cl⁻:塩化ナトリウムの電気分解で発生した塩素ガス

これらの関連付けにより、イオン式が単なる記号ではなく、実際の物質や現象と結びついた知識として定着します。

反復練習と確認テスト

定期的な反復練習は、イオン式を長期記憶に定着させるために不可欠です。効果的な練習方法を実践することで、確実にマスターできます。

効果的な練習方法:

  1. 毎日10分間の復習:短時間でも毎日続けることが重要
  2. 段階的な練習:まずは基本的なイオンから始めて、徐々に難しいものに挑戦
  3. 書いて覚える:手で書くことで記憶に定着しやすくなる
  4. 声に出して読む:聴覚も使って覚える

確認テストの活用:
自分でテストを作成したり、友達と問題を出し合ったりすることで、理解度を確認できます。間違えた部分は重点的に復習し、苦手なイオン式を特定して集中的に練習しましょう。

また、スマートフォンのアプリやオンラインクイズを活用することも効果的です。ゲーム感覚で学習できるため、楽しみながら覚えることができます。

化学反応式での活用法|イオン式を使った実践問題

イオン式を覚えただけでは意味がありません。化学反応式の中でイオン式を正しく使えるようになることが重要です。ここでは、実際のテストや入試で出題される問題を通して、イオン式の実践的な活用法を学びましょう。化学反応式を正しく書けるようになることで、化学の理解が格段に深まります。

イオン化合物の化学式の作り方

イオン化合物の化学式を作るときは、陽イオンと陰イオンの電荷のバランスを取る必要があります。これは化学の基本的なルールです。

化学式作成の基本ルール:

  1. 電荷の総和をゼロにする
  2. 陽イオンを先に書く
  3. 最小整数比で表す

具体例で学ぶ化学式の作り方:

例1:塩化ナトリウム(食塩)

  • Na⁺(1価の陽イオン)+ Cl⁻(1価の陰イオン)
  • 電荷:(+1) + (-1) = 0
  • 化学式:NaCl

例2:酸化マグネシウム

  • Mg²⁺(2価の陽イオン)+ O²⁻(2価の陰イオン)
  • 電荷:(+2) + (-2) = 0
  • 化学式:MgO

例3:塩化カルシウム

  • Ca²⁺(2価の陽イオン)+ Cl⁻(1価の陰イオン)
  • 電荷のバランス:(+2) + (-1) × 2 = 0
  • 化学式:CaCl₂

このように、電荷のバランスを考えながら化学式を作ることで、正確な化学式が書けるようになります。最初は計算が大変に感じるかもしれませんが、練習を重ねることで自然にできるようになります。

電気分解の反応式

電気分解は、イオン式を使った反応式の代表例です。電気分解では、陽イオンが陰極に、陰イオンが陽極に移動して、それぞれで化学反応が起こります。

塩化ナトリウム水溶液の電気分解:

陰極(-極)での反応:

  • 水素イオン(H⁺)が電子を受け取って水素ガスになる
  • 2H⁺ + 2e⁻ → H₂

陽極(+極)での反応:

  • 塩化物イオン(Cl⁻)が電子を失って塩素ガスになる
  • 2Cl⁻ → Cl₂ + 2e⁻

全体の反応:
2NaCl + 2H₂O → 2NaOH + H₂ + Cl₂

硫酸銅水溶液の電気分解:

陰極での反応:

  • 銅イオン(Cu²⁺)が電子を受け取って銅になる
  • Cu²⁺ + 2e⁻ → Cu

陽極での反応:

  • 水が電子を失って酸素ガスになる
  • 2H₂O → O₂ + 4H⁺ + 4e⁻

電気分解の反応式を書くときは、電子のやり取りを正確に表現することが重要です。電子の数が合わない場合は、係数を調整して電子の収支を合わせましょう。

酸・塩基の中和反応

中和反応は、酸から出る水素イオン(H⁺)と塩基から出る水酸化物イオン(OH⁻)が結合して水(H₂O)を作る反応です。

基本的な中和反応:
H⁺ + OH⁻ → H₂O

具体例で学ぶ中和反応:

例1:塩酸と水酸化ナトリウムの中和

  • HCl → H⁺ + Cl⁻
  • NaOH → Na⁺ + OH⁻
  • 中和反応:HCl + NaOH → NaCl + H₂O

例2:硫酸と水酸化バリウムの中和

  • H₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻
  • Ba(OH)₂ → Ba²⁺ + 2OH⁻
  • 中和反応:H₂SO₄ + Ba(OH)₂ → BaSO₄ + 2H₂O

例3:酢酸と水酸化カルシウムの中和

  • 2CH₃COOH → 2CH₃COO⁻ + 2H⁺
  • Ca(OH)₂ → Ca²⁺ + 2OH⁻
  • 中和反応:2CH₃COOH + Ca(OH)₂ → Ca(CH₃COO)₂ + 2H₂O

中和反応では、酸と塩基の価数を確認して、係数を正しく調整することが大切です。水素イオンと水酸化物イオンの数が等しくなるように式を作りましょう。

沈殿反応の仕組み

沈殿反応は、水に溶けにくい物質(沈殿)が生成される反応です。イオン式を使うことで、どのような沈殿が生成されるかを予測できます。

代表的な沈殿反応:

例1:塩化銀の沈殿

  • AgNO₃ + NaCl → AgCl↓ + NaNO₃
  • イオン式:Ag⁺ + Cl⁻ → AgCl↓

例2:硫酸バリウムの沈殿

  • BaCl₂ + Na₂SO₄ → BaSO₄↓ + 2NaCl
  • イオン式:Ba²⁺ + SO₄²⁻ → BaSO₄↓

例3:炭酸カルシウムの沈殿

  • CaCl₂ + Na₂CO₃ → CaCO₃↓ + 2NaCl
  • イオン式:Ca²⁺ + CO₃²⁻ → CaCO₃↓

沈殿の覚え方:
沈殿反応では、以下の組み合わせが沈殿になることが多いです:

  • 銀イオン(Ag⁺) + ハロゲンイオン → 沈殿
  • バリウムイオン(Ba²⁺) + 硫酸イオン(SO₄²⁻) → 沈殿
  • カルシウムイオン(Ca²⁺) + 炭酸イオン(CO₃²⁻) → 沈殿

沈殿反応を理解することで、物質の分離や確認に役立ちます。実験でも頻繁に使われる重要な反応です。

よくある間違いと対策|テストで点数を落とさないために

イオン式の学習では、多くの生徒が共通して間違えやすいポイントがあります。これらの間違いを事前に知っておくことで、テストでの失点を防ぐことができます。正しい理解と適切な対策を身につけて、確実に得点できるようになりましょう。

電荷の符号と数字の書き方

電荷の表記は、イオン式で最も間違えやすい部分です。正しいルールを理解して、確実に書けるようになりましょう。

よくある間違い:

  • 数字と符号の順序:Ca⁺² ←(間違い)、Ca²⁺ ←(正しい)
  • 1価の場合の省略:Na¹⁺ ←(間違い)、Na⁺ ←(正しい)
  • 符号の忘れ:Cl ←(間違い)、Cl⁻ ←(正しい)
  • 数字の位置:SO₄⁻² ←(間違い)、SO₄²⁻ ←(正しい)

正しい書き方のルール:

  1. 数字を先に、符号を後に書く
  2. 1価の場合は数字を省略する
  3. 符号は必ず書く
  4. 右上に小さく書く

練習方法:
正しい書き方を身につけるために、以下の練習を行いましょう:

  • 毎日10個のイオン式を正確に書く練習
  • 間違えやすいイオン式を重点的に練習
  • 友達と問題を出し合って確認する
  • 書いた後は必ず見直しをする

特に、多原子イオン(SO₄²⁻、CO₃²⁻など)は数字と符号の位置を間違えやすいので、注意深く練習しましょう。

価数の混同

価数の混同は、特に遷移金属で起こりやすい間違いです。同じ元素でも異なる価数を取る場合があることを理解しましょう。

混同しやすい例:

銅イオン:

  • Cu⁺(1価):銅(Ⅰ)イオン
  • Cu²⁺(2価):銅(Ⅱ)イオン

鉄イオン:

  • Fe²⁺(2価):鉄(Ⅱ)イオン
  • Fe³⁺(3価):鉄(Ⅲ)イオン

対策方法:

  1. 文脈から判断する:問題文や化学式から価数を推測
  2. 色で覚える:Cu²⁺は青色、Fe²⁺は薄緑色、Fe³⁺は黄褐色
  3. よく出る組み合わせを覚える:CuSO₄(硫酸銅)はCu²⁺、FeCl₂(塩化鉄)はFe²⁺

覚え方のコツ:
価数が変わる元素については、代表的な化合物と一緒に覚えることが効果的です。たとえば、「硫酸銅(CuSO₄)の銅は2価」のように、具体的な化合物と関連付けて記憶しましょう。

多原子イオンの書き間違い

多原子イオンは、複数の原子が結合してできたイオンです。原子の種類や数を正確に覚える必要があります。

間違えやすい多原子イオン:

硫酸イオン:

  • 間違い:SO₃²⁻
  • 正しい:SO₄²⁻

硝酸イオン:

  • 間違い:NO₂⁻
  • 正しい:NO₃⁻

炭酸イオン:

  • 間違い:CO₂²⁻
  • 正しい:CO₃²⁻

アンモニウムイオン:

  • 間違い:NH₃⁺
  • 正しい:NH₄⁺

覚え方のコツ:

  1. 関連する物質と一緒に覚える
  • 硫酸(H₂SO₄)→ 硫酸イオン(SO₄²⁻)
  • 硝酸(HNO₃)→ 硝酸イオン(NO₃⁻)
  1. 語呂合わせを使う
  • 「硫酸の酸素は4つ」
  • 「硝酸の酸素は3つ」
  1. 構造を理解する
  • 中心原子の周りに酸素原子が配置されている
  • 電荷は全体のバランスで決まる

化学式の係数の間違い

化学式の係数は、電荷のバランスを取るために必要ですが、間違えやすいポイントでもあります。

よくある間違い:

塩化カルシウム:

  • 間違い:CaCl(電荷が合わない)
  • 正しい:CaCl₂(Ca²⁺ + 2Cl⁻)

硫酸アルミニウム:

  • 間違い:AlSO₄(電荷が合わない)
  • 正しい:Al₂(SO₄)₃(2Al³⁺ + 3SO₄²⁻)

対策方法:

  1. 電荷の計算を確実に行う
  • 陽イオンの電荷の総和 = 陰イオンの電荷の総和
  1. 段階的に確認する
  • まずイオン式を書く
  • 次に電荷を確認する
  • 最後に係数を調整する
  1. 練習問題を繰り返す
  • 基本的な化合物から始める
  • 徐々に複雑な化合物に挑戦する

電荷計算の例:
硫酸アルミニウム(Al₂(SO₄)₃)の場合:

  • Al³⁺が2個:(+3) × 2 = +6
  • SO₄²⁻が3個:(-2) × 3 = -6
  • 電荷の合計:(+6) + (-6) = 0 ✓

このように、必ず電荷のバランスを確認する習慣をつけましょう。

まとめ|イオン式をマスターして化学を得意科目にしよう

イオン式の学習を通して、化学の基礎となる重要な概念を身につけることができました。ここまで学んだ内容を整理して、今後の学習に活かしていきましょう。イオン式の理解は、高校化学への架け橋となる大切な知識です。

重要ポイントの再確認

イオン式学習で身につけたこと:

  • イオンの基本概念:電子を失った陽イオンと電子を得た陰イオン
  • 主要なイオン式:1価・2価の陽イオンと陰イオンの一覧
  • 効果的な覚え方:周期表の規則性、語呂合わせ、実生活との関連付け
  • 実践的な活用法:化学反応式、電気分解、中和反応、沈殿反応
  • よくある間違い:電荷の書き方、価数の混同、多原子イオン

記憶に残すべき重要なイオン式:

1価陽イオン: Na⁺、K⁺、Ag⁺、NH₄⁺
2価陽イオン: Mg²⁺、Ca²⁺、Cu²⁺、Zn²⁺
1価陰イオン: Cl⁻、OH⁻、NO₃⁻
2価陰イオン: O²⁻、SO₄²⁻、CO₃²⁻

これらのイオン式は、中学理科のテストだけでなく、高校入試でも頻繁に出題される重要な知識です。確実に覚えて、瞬時に書けるようになりましょう。

継続的な学習のススメ

イオン式の学習を継続するためのアドバイス:

  1. 毎日の復習習慣
  • 1日10分でもいいので、毎日イオン式に触れる
  • 通学時間や休憩時間を活用する
  • スマートフォンのアプリを使って隙間時間に練習
  1. 実験との関連付け
  • 理科の実験で見た現象とイオン式を結び付ける
  • 実験レポートにイオン式を積極的に使う
  • 身の回りの現象を化学的に考える習慣をつける
  1. 問題演習の継続
  • 定期テストの過去問を解く
  • 市販の問題集を活用する
  • 友達と問題を出し合う

高校化学への準備:
中学で学んだイオン式の知識は、高校化学の基礎となります。特に以下の分野で重要になります:

  • 電気化学:電池や電気分解の仕組み
  • 溶液の性質:電解質と非電解質の区別
  • 化学平衡:イオン化平衡の理解
  • 定量分析:沈殿反応を利用した分析

化学を得意科目にするために

化学を得意科目にするための心構え:

  1. 基礎を大切にする
  • イオン式は化学の基礎中の基礎
  • 基礎が固まれば応用問題も解けるようになる
  • 分からないことは恥ずかしがらずに質問する
  1. 実生活との関連を意識する
  • 化学は身の回りの現象と密接に関連している
  • 料理、掃除、工業製品など、日常生活の中に化学がある
  • 興味を持って学習することで理解が深まる
  1. 継続的な学習を心がける
  • 一度覚えたことでも定期的に復習する
  • 新しい知識と既習事項を関連付ける
  • 段階的に難しい問題に挑戦する

最後に:
イオン式の学習は、化学の扉を開く第一歩です。最初は覚えることが多くて大変かもしれませんが、理解が深まるにつれて化学の面白さが分かってくるはずです。

今回学んだ内容を基礎として、さらに発展的な化学の学習に取り組んでください。化学は私たちの生活を豊かにする重要な学問です。皆さんが化学を通して新しい発見をし、将来の進路に役立てることを願っています。

継続的な学習と復習を通して、イオン式を完全にマスターし、化学を得意科目にしていきましょう。