リスニングのコツを5つ紹介!教科書だけでは伸びない子の勉強法

教科書だけでリスニングが伸びにくい理由

教科書の音声を毎日聞いているのに、テストになると英語がまったく聞き取れない。こうした相談は、教育の現場でとても多く寄せられます。努力が足りないわけではありません。教科書の使い方と、テストで求められる力にズレがあるだけです。ここでは、教科書だけでは伸びにくい理由を3つの角度から整理します。原因がはっきりすると、次に何をすればいいかが見えてきます。

教科書の音声は聞くだけで終わりやすい

教科書には音声教材が付いていて、授業でも聞く機会があります。ただ、多くの子は文字を見ながら音声を聞いています。目で文を追えるので、音が聞こえていなくても分かった気になってしまいます。これでは耳はほとんど鍛えられません。

もう一つの問題は、読まれる速さです。教科書の音声は、一語ずつはっきり読まれる場面が多くなっています。一方で英検や共通テストの音声は、自然な速さで読まれ、単語どうしがつながって聞こえます。この差に戸惑って、テストでは急に聞き取れなくなる子がたくさんいます。

さらに、同じ単元を何度も聞くと、内容を覚えてしまいます。覚えた英文が聞き取れても、初めて聞く英語には対応できません。

そこで、文字を隠して、初めて聞く音声で練習することを基本にします。教科書の音声を使うなら、まず本を閉じて一度聞き、そのあとで文字を確認します。この順番に変えるだけで、耳に残る情報の量がぐっと変わります。

聞き取れない原因は3つに分けられる

リスニングが苦手といっても、つまずく場所は子どもによって違います。大きく分けると、原因は次の3つです。

原因こんな様子まず取り組むこと
語彙や文法の不足文字で見ても意味が取れない単語を音とセットで覚え直す
音の知識の不足文字なら分かるのに聞こえないディクテーションで聞こえない音を探す
処理の速さの不足考えている間に次を聞き逃す先読みとシャドーイングを行う

見分け方は簡単です。聞き取れなかった英文を、スクリプトで読んでみます。文字で読んでも意味が取れないなら、語彙や文法の復習が先になります。文字なら分かるのに音では分からない場合は、音に原因があります。

原因を取り違えると、努力が空回りします。音の問題なのに単語帳ばかり進めても、聞き取りは変わりません。最初に原因を一つに絞ることが、遠回りをしない近道になります。

苦手な子に共通する勉強のクセ

リスニングが伸びない子には、勉強のクセに共通点があります。当てはまるものがないか、親子で確認してみてください。

  • 音声を聞いている間、ずっと文字を目で追っている
  • 分からない所を、何度も巻き戻して聞き直す
  • 答え合わせだけして、なぜ間違えたかを調べない
  • 週に1回、まとめて1時間やって終わりにする

この4つは、どれも悪気なく続けてしまうクセです。たとえば巻き戻しは、一見まじめな勉強に見えます。けれど本番の音声は一度しか流れないので、聞き直す練習ばかりでは本番に結びつきません。

耳の力は、運動と同じで短い時間を毎日続けるほうが伸びます。1日10分でも、週に7日続ければ70分になります。1時間を週1回行うより、記憶にも残りやすくなります。クセに気づいたら、一つずつ直せば十分です。

今日から使えるリスニングのコツ

原因が分かったら、次はテストで使える具体的なコツを身につけます。ここで紹介するのは、特別な才能がなくても今日から試せるものばかりです。ポイントは、音を聞く前の準備、音そのものへの慣れ、そして聞いている最中の心構えの3つです。どれも1日数分で練習できるので、できそうなものから取り入れてみてください。

設問の先読みで答えの場所を予想する

リスニングで最初に身につけたいコツは、音声が流れる前に設問と選択肢を読むことです。問題冊子に選択肢が印刷されている問題なら、先に目を通すだけで、何を聞けばいいかが分かります。

たとえば選択肢に「9:30」「10:00」「10:30」と並んでいれば、時刻が問われると予想できます。この予想を持って聞くと、時刻の部分だけに集中できます。選択肢に「sunny」「rainy」とあれば、天気の話だと分かります。

先読みのとき、全部を読む必要はありません。選択肢の違いになっている単語に、線を引くつもりで目を走らせます。選択肢どうしの違いに注目すると、聞くべきポイントが絞れます。

共通テストでは、問題によって先読みの時間が短いこともあります。普段から、10秒で設問と選択肢をざっと見る練習をしておくと安心です。タイマーを使って、時間を区切って行ってみてください。

音のつながりと弱く読まれる音に慣れる

英語は、単語を一つずつ区切って読まれるわけではありません。前後の音がつながったり、弱くなったりします。この変化を知らないと、知っている単語でも聞こえなくなります。

よくある例が、「What are you doing?」です。実際には「ワラユドゥーイン」のように聞こえます。「Check it out」も、「チェケラウ」に近い音になります。文字で覚えた発音とは、かなり違って聞こえるのです。

また、to、of、a、the、be動詞といった短い単語は、弱く短く読まれます。内容を決める名詞や動詞は強く読まれるため、強く読まれる単語を拾って意味をつかむと、全体が分かりやすくなります。

慣れるには、聞こえた音を文字にする練習が役に立ちます。短い会話を聞いて、聞こえたとおりにカタカナでメモし、そのあとスクリプトと見比べます。音のズレを見つけるたびに、聞こえる音が増えていきます。

聞き取れない所で止まらずに次へ進む

本番でいちばん多い失敗は、聞き逃した単語が気になって、その後の音声まで聞こえなくなることです。リスニングの音声は待ってくれません。一か所つまずくと、数秒分の内容が頭を素通りしてしまいます。

対策はシンプルで、分からない所は捨てて、次の文に集中すると決めておくことです。会話の内容は、一語が聞こえなくても、前後から推測できることがほとんどです。

また、全部を完璧に聞き取ろうとしないことも大切です。設問に関係する部分さえ拾えれば、正解にたどり着けます。数字、時刻、場所、理由といった、設問で問われやすい情報に耳を向けます。

家での練習では、巻き戻さずに最後まで聞き通す習慣をつけます。聞き終わってから、聞こえた内容を日本語で一言まとめてみましょう。分からなかった所は、あとでスクリプトで確かめれば十分です。止まらない感覚は、練習の中で少しずつ育ちます。

力がつく練習法

コツを知っただけでは、聞き取る力はつきません。実際に耳と口を動かす練習が必要です。この章では、家庭でも続けやすい3つの練習を紹介します。ディクテーション、シャドーイング、そして過去問の活用です。それぞれ目的が違うので、役割を理解して使い分けると、短い時間でも手応えが出てきます。

ディクテーションで聞こえていない音を見つける

ディクテーションとは、聞こえた英語をそのまま書き取る練習です。聞き取れない場所がはっきり分かるので、苦手の原因を探すのにとても向いています。

やり方は次のとおりです。まず短い英文を選び、1文ずつ区切って聞きます。3回まで聞いて、聞こえた内容を書きます。そのあとスクリプトと見比べて、間違えた箇所に印をつけます。

ここで大切なのは、間違えた理由を一つずつ確認することです。知らない単語だったのか、音がつながっていたのか、弱く読まれて聞こえなかったのか。理由を書き添えておくと、次に同じミスをしにくくなります。

量は、1日に3文から5文で十分です。最初から長い文章に挑戦すると、疲れて続きません。教材は、教科書に付属の音声でも、英検の過去問の音声でも使えます。慣れてきたら、少しずつ文の長さを伸ばしてください。

シャドーイングと音読で耳と口をつなげる

シャドーイングは、聞こえてくる英語を、少し遅れて影のように繰り返す練習です。聞くと同時に声に出すので、英語を処理する速さが上がります。

最初は、スクリプトを見ながら音読する練習から始めます。いきなりシャドーイングをすると、ついていけずに自信をなくしてしまいます。流れは次のとおりです。

  • スクリプトの意味を確認する
  • 音声に合わせて、文字を見ながら声に出す
  • 文字を見ずに、聞こえた音を追いかけて声に出す

この順番にすると、少しずつ負荷を上げられます。1日の目安は、同じ素材で5分から10分です。同じ素材を数日間くり返すと、音と意味が結びついてきます。

自分で読めない音は、聞こえません。声に出せる音は、聞き取れる音になると考えてください。一人で恥ずかしい場合は、小さな声でも構いません。口を動かすこと自体に意味があります。

英検と共通テストの過去問を教材にする

過去問は、本番の速さや問われ方に慣れるための、いちばん確かな教材です。しかも、公式の情報が手に入ります。日本英語検定協会のサイトには、英検の過去問が公開されています。大学入試センターのサイトにも、共通テストの問題と音声が載っています。

使い方のコツは、1回目は時間を計って本番どおりに解くことです。そのあと、間違えた問題だけを、ディクテーションやシャドーイングで復習します。解きっぱなしにせず、間違えた1問から、音の弱点を一つ見つけるつもりで取り組みます。

共通テストのリスニングは、問題によって音声が1回だけ流れるものと、2回流れるものがあります。1回だけの問題は、先読みと聞き逃しの切り替えが特に大切です。

学校の定期テストやリスニング対策には、まず英検の級を目標にする方法もあります。目標があると、毎日の練習が続きやすくなります。自分の学年や力に近い級の過去問から始めてください。

学年別の進め方と家庭でのサポート

リスニングの練習は、学年によって取り組み方が変わります。中学生は耳を慣らす段階、高校生は入試の速さに合わせる段階です。また、子どもが続けられるかどうかは、家庭の環境にも大きく左右されます。ここでは学年ごとの進め方と、保護者の関わり方をまとめました。お子さんの今の状況に合わせて、使える部分を取り入れてください。

中学生は教科書の音声とラジオ講座から始める

中学生は、まず教科書の音声を正しく使うことから始めます。NEW HORIZON、SUNSHINE、NEW CROWNなど、どの教科書にも付属の音声があります。先ほど紹介したように、本を閉じて聞く、あとで文字を確認する、という順番を守ります。

もう少し量を増やしたい場合は、NHKのラジオ講座「基礎英語」シリーズが役立ちます。1回の放送時間が短く、毎日続けやすいのが特長です。日常の会話が中心なので、定期テストのリスニングにも結びつけやすくなります。

中学3年生になったら、高校入試を意識します。公立高校の入試でも、リスニングが出題されています。地域ごとに形式が違うため、志望校の過去問で音声の速さを確認しておくと安心です。

この時期は、量よりも毎日続けることを大切にします。目安は次の表のとおりです。

学年教材の例1日の目安
中学1・2年生教科書の音声、NHKラジオ講座10分
中学3年生英検の過去問、志望校の過去問15分
高校生共通テストの過去問、英検20分

時間はあくまで目安です。短くても、毎日できる量に調整してください。

高校生は共通テストを意識して速さに慣れる

高校生になると、共通テストが大きな目標になります。共通テストの英語は、リーディングとリスニングの配点が同じ100点ずつです。そのため、リスニングで点を落とすと、全体の得点に大きく響きます。

高校1年生と2年生のうちは、基礎づくりを優先します。ディクテーションやシャドーイングで、音の土台を固めます。高校3年生になったら、共通テストの過去問や試行調査を使い、本番と同じ速さで解く練習を増やします。

独学が難しいと感じた場合は、外部の力を借りる方法もあります。スタディサプリのような映像授業では、リスニングの解き方を、くり返し見直しながら学べます。河合塾、駿台、東進ハイスクールといった予備校でも、共通テスト対策の講座が用意されています。

どの方法を選んでも、聞いたあとの復習に時間を使うことは変わりません。聞き流すだけの量を増やしても、点数にはつながりにくくなります。1回の問題に、解く時間と同じだけ復習の時間を取るのが理想です。

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保護者ができる声かけと環境づくり

リスニングは、家庭でも支えやすい科目です。英語が得意でなくても、保護者にできることはたくさんあります。

まず、勉強する時間を決めて、毎日同じ時間に取り組める環境を整えます。夕食前の10分、お風呂のあとの10分など、生活の流れに組み込むと習慣になります。イヤホンやスピーカーを用意するだけでも、音に集中しやすくなります。

声かけは、結果よりも続けていることに目を向けます。「今日も10分やったね」と伝えると、子どもは安心して続けられます。点数が下がったときも、まずは責めずに、どの部分が聞き取れなかったかを一緒に確認します。

親が英語を分からなくても問題ありません。子どもに、聞こえた内容を日本語で説明してもらうだけで、立派な練習になります。人に説明することで、理解があいまいな所が見えてくるからです。ゆっくり、楽しく続けられる雰囲気を大切にしてください。